娘と暮らしてきたおばあちゃんが、高齢によって身体がすっかり衰えてきた。
今や、日々の生活も娘の手助けがないと出来ない。
親子は話しあい、おばあちゃんは老人ホームに入ることになった。
娘は老人ホームの介護士たちに、目を離さずしっかり世話をしてくれるように頼んだ。
介護士たちは真剣に娘の話を聞いた。
老人ホームでは、おばあちゃんは栄養のある食事を与えられ、体も清潔に保たれた。
昼には車椅子に乗ったままで、花いっぱいの手入れの行き届いたきれいな庭に連れ出され、外の新鮮な空気を吸った。
ところが、突然、車椅子に乗ったおばあちゃんの体が左に倒れそうになった。
介護士はこの異変を見逃さなかった。
すかさず身体を支え、まっすぐにした。
しばらくすると、おばあちゃんの体が、今度は右に倒れそうになっている。
介護士はまたもすかさず支え、大丈夫ですかと声をかけ、まっすぐに戻した。
しかし、またしばらくすると、おばあちゃんの体が、今度は前の方に倒れそうになっている。
介護士は今回もすぐに気づいて駆け寄り、声をかけ、支えてまっすぐにした。
翌日、娘が様子を見に老人ホームにやってきた。
娘:「面倒見がいい施設だって聞いたからここにしたけど、実際どう?」
母親:「ええ、とてもいいところよ。ただひとつを除いてね」
娘:「何か問題があるの?」
母親:「庭で車椅子に乗っているとき、こっそりおならをしようとすると、止められちゃうの」