森の奥深く、一匹の小さな亀が、時間をかけて、ゆっくりと木に登った。
ついに木のてっぺんに上った小さな亀は、一度地面を見下ろした。
それから意を決し、顔をぐいっと上方へ向けると、前足をばたつかせながら、空中にジャンプした。
亀はそのまま地面に落ちた。
しかし、小さな亀はあきらめなかった。
もう一度起き上がり、ゆっくりと木に登った。
そして同じく、前足をばたつかせながら空中に飛び出し、そのまま落下した。
小さな亀は、それでもくじけなかった。
何度も木に登っては、空中に飛び出し、落下を繰り返した。
その小さな亀の様子を、枝にとまったオスとメスの2羽の鳥がじーっと見ていた。
そのうち、メスの鳥が、オスの方を向いて、こうささやいた。
「そろそろ、あの子に本当のことを伝えた方がいいんじゃないかしら?あなたは、実は、養子なんだって」