マークはひじの痛みで悩んでいた。
友人に相談すると、「近所の薬局にGoogleが開発した最新の人工知能(AI)を搭載した健康診断機がおいてある。尿を入れると、どんな病気でも10ドルで診断してくれる。医者より安くて正確だよ」と、アドバイスされた。
マークは半信半疑だったが、そのAI診断機のところに行き、10ドル払って尿を機械に入れてみた。
AI診断機は、高いモータ音とともにLEDランプをチカチカさせてマークの尿を分析した。
しばらくして、音は静かになり、AI診断機は次のように答えた。
「マークさん、あなたはひじを痛めています。直接の原因はゴルフのやりすぎです。ひじを氷でこまめに冷やし、負担をかけないようにして生活してください。ゴルフもしばらく控えるようにしてください」。
マークはすっかり感心した。
同時に、このAI診断機がどこまで正確に症状の判定ができるものなのか、いたずら心が芽生えた。
マークは家に帰り、自分の尿に飼い犬と妻と娘の尿を混ぜ、さらにそれを水道水で薄めたサンプルを作った。
そして、翌日、また10ドル払って、家族3人と犬1匹の尿を混ぜて水道水で薄めたサンプルを、例のAI診断機にかけてみた。
AI診断機は高いモータ音とともにLEDランプをチカチカさせてそのサンプルを分析した。
しばらくして、音は静かになり、機械は次のように答えた。
「マークさん、あなたの家の水道水には高濃度のトリハロメタンが含まれていますから、浄水器を付けた方がいいでしょう。あなたの飼い犬はウイルス性の病気にかかっていますから獣医に連れて行った方がいいでしょう。娘さんの尿からはコカインが検出されましたので、リハビリ用の施設に入れることを検討してください。あなたの奥さんは双子を身ごもっていますが、あなたの子供ではありませんから弁護士に相談した方がいいでしょう。それから、マークさん、ゴルフだけでなく、スマホゲームも控えるようにしないと、あなたのひじはよくなりませんよ」