穏やかに晴れた、古代ローマ時代の地中海。
鎖につながれた奴隷たちが、ガレー船の船底に並んで座り、オールで船をこいでいる。
そこへ監督役の親分がやって来て、奴隷たちに声をかけた。
「おい、お前たち。いいニュースと悪いニュースがある」
奴隷たちは、聞き耳を立てた。
「最初に、いいニュースからだ。船長が、お前たち全員に、ステーキをおごってくれることになった」
毎日船底で船をこぎ続けてきた奴隷たちは、思わぬ申し出に、一斉に歓声を上げた。
「次に、悪いニュースだが」
親分は続けた。
「船長は、水上スキーを楽しみたいそうだ」