ビル・ゲイツが死んだ。
死んだ者は、天国か地獄に行かなければならない。
巨大なマイクロソフト帝国を築いた男といえども、この掟にはさからえない。
しかし、ゲイツについてはどちらに行くのがふさわしいか?
神様は判断に迷い、ビル・ゲイツ本人を呼んで尋ねることにした。
「お前を天国に送るがふさわしいのか、それとも地獄に落とすべきなのか、正直、ワシは決めかねておる。というのは、お前は、コンピュータの発展に寄与し、引退してからは慈善事業も営んだが、その一方で、Windowsの開発ではアップルのアイディアを無断でパクり、Microsoft Officeはバグだらけで編集中の文書をたくさんダメにして世界中の人々を悲しみのどん底に陥れた。そこでだ、両方の様子を見せてやるから、どっちに行くかはお前自身が決めなさい」
そして、ゲイツは、一台のWindowsパソコンの前に案内された。
彼は、モニターのスイッチを入れ、スクリーンに映し出された地獄の様子を見た。
そこは、裸の男女がビーチで楽しく遊びまわり、気候は温暖で、おいしい食べ物にあふれ、まるで楽園のようだった。
次いで、パソコンのスクリーンは天国の様子を映し出した。
そこは、すべてが穏やかだった。
明るい雲の下で天使がハープの音楽を奏で、白い服を着た人々が芝生の上でのんびりと過ごしていた。
しかし、少し退屈そうに見えた。
ゲイツは、画面を見ながら、「これなら、地獄でいいな」と、つぶやいた。
その希望通り、彼は、地獄に送られた。
数か月後、神様は、地獄に行ったゲイツの様子を見に行った。
ゲイツは、神様を見るなり、怒りながら文句を言った。
「神様!一体どういうことですか!!私は、ここで毎日、悪魔たちに小突きまわされ、火に炙られ、ひどい目にあっています。最初にパソコンのモニターで見たあの映像は何だったんですか!?」
神様は答えた。
「あの画像は、スクリーン・セーバーじゃよ」