大企業のCEOが、重要な国際会議で20分間の外国語のスピーチを依頼された。
忙しいうえに外国語が苦手なCEOは、原稿を棒読みして済ませようと考えた。
そこで、秘書にその20分間のスピーチ原稿の手配を命じた。
スピーチの原稿は周到に準備され、複数のネイティブ・スピーカーによる入念なチェックと校正が行われ、会議の直前にCEOの元へと届けられた。
しかし、スピーチは不評だった。
国際会議が終わった後、CEOは怒って秘書に電話をかけた。
「私は20分のスピーチの原稿を用意しろ、と言った筈だが?読み上げていったら、60分もかかったぞ!おかげで最初はいい反応だった聴衆も、半分が途中で出て行ってしまうし、残りの人たちも途中からあくびしたり、居眠りしてるし、主催者からは後で文句を言われるし、さんざんな目に遭ったよ」
秘書は、不思議そうに答えた。
「おかしいですね。ちゃんと20分で済む原稿を手配し、それを3部印刷してお渡ししましたよ」