マフィアの親分が、専属の弁護士とともに、会計士の部屋に入ってきた。
彼は、会計士を見つけるといきなりその胸ぐらをつかみ、叫んだ。
「おまえ、俺の口座から500万ドル盗んだだろ!」
会計士は青ざめた表情のまま、何も答えなかった。
マフィアの親分は、もう一度、叫んだ。
「おい!聞こえないのか!おまえ、俺の口座から500万ドル盗んだだろ!」
そこへ、弁護士が割って入った。
「親分、この男は聴覚障害者なのです。私が手話で通訳します」
弁護士はそう言いながら、会計士に向かって両腕を動かし、『盗んだ金はどこにある?』と尋ねた。
会計士は、手話で、『一体なんのことでしょう?』と答え、とぼけた。
弁護士は親分の方に向き、「この男は、『知らない』と言っています」と伝えた。
マフィアの親分は、怒りに燃え、拳銃を取り出した。
そして、銃口を会計士のこめかみに突き付け、引き金に指をかけた。
「おい、本当のことを言わないと、お前の脳みそを吹っ飛ばすぞ!」
弁護士はうなずきながら、素早く腕を動かし、『本当のことを言え』と伝えた。
会計士はおびえながら、必死になって手話で答えた。
『オ、オレが悪かった。撃たないでくれ!500万ドルはオレの家の物置のスーツケースの中にある』
弁護士は深くうなずき、再びマフィアの親分の方に向いて答えた。
「親分、この男は、こう言っています。『やれるもんならやってみろ!』」