ジョニーが大切にしていた犬が死んだ。
ジョニーは悲観にくれた。この犬は、炊事も、掃除も、洗濯も、買い物もやってくれる大変優れた犬だったからだ。
ジョニーは犬を丁寧に葬り、しばらく一人で過ごしたが、だんだん家事が煩わしくなってきた。そこで、ペットショップを訪れて、死んだ犬のように家事をやってくれる犬はいないかと尋ねてみた。
ペットショップのオーナーは、そんな優秀な犬は世の中にちょっといない、と断った。ただ、「とても利口なムカデならいる」と言って、一匹の大きなムカデを店の奥から出してきて見せた。
特別なムカデなので値段も高く、ジョニーは少しためらったが、背に腹は代えられない。結局、ジョニーはそのムカデを買うことにした。
このムカデは本当に優秀だった。
100本の足をフルに使い、効率的に炊事、掃除、洗濯をこなした。
ジョニーはすっかり感心した。
次の日、ジョニーは、ムカデに近所のスーパーまで買い物に行くように、と命じた。
しかし、30分後にジョニーが玄関の近くを通ると、ムカデはまだそこにいる。
ジョニー:「俺はお前に、スーパーに買い物に行ってきてくれと頼んだ筈だが?どうしてまだここにいるんだ??」
ムカデ:「(疲れた表情で)靴を履き終わるまで待ってくれよ」