1匹の犬が財布を首から下げ、肉屋にやってきた。
犬は肉のケースの前で立ち止まった。
肉屋の店主は犬に気づき、声をかけた。
そして、「どの肉が必要なのかね」と、尋ねた。
犬は前足で牛肉の塊を指した。
続けて店主は、「何ポンド必要ですか?」と尋ねた。
犬は、「ワン、ワン」と2回鳴いた。
店主はそれを聞いて、牛肉の塊を2ポンドとりわけた。
そして、「他に何か必要なものはありますか?」と尋ねた。
犬は、今度は、骨付きポークを指した。
店主はうなずき、「どのくらい必要ですか」と聞いた。
犬は、「ワン、ワン、ワン」と3回鳴いた。
店主は、それを聞いて、骨付きポークを3ポンドとりわけた。
そして、犬の財布から相当分の代金を抜いてお釣りを入れ、袋に入れた牛肉と骨付きポークを犬の首に下げた。
たまたま一人の男がその様子を見ていて、驚いた。
そして、その犬の後をつけてゆくことにした。
犬は歩き出し、しばらくして1軒の家に着いた。
犬はしばらく立ち止まっていたが、玄関の前で何度か鳴きはじめた。
すると、家から女性が出てきた。
彼女は、扉を開けて犬を見ると、渋い顔をして中に入れた。
ついてきた男は、女性に声をかけた。
「驚きました。あなたの犬とても賢いですね!買い物ができるなんて」
女性は、うんざりした表情で答えた。
「賢くなんてないわよ。この犬、家の鍵を持っていくのを忘れたのは、今月、これで2回目なんだから!」