アラブの砂漠で、一人のアメリカ人の男が迷子になった。
男は、何時間も砂漠を歩き続け、のどが乾いて、倒れそうだった。
すると、砂漠の中に、ポツンと、屋台のような小さな店が見えた。
男は、必死にそこまで歩き、すがるように白い布を頭にかぶった店主に話しかけた。
男:「み、水をくれ!」
店主:「ここに水は無い。ネクタイはどうだ?一本、500ドル」
男:「こんなところでネクタイだって?しかも一本500ドル!アラブの商人はどうかしている。そんなものはいらない。今は、とにかく、水が飲みたいんだ。どこかに水が飲めるところはないか?」
店主:「あの小高い砂丘の向こうにレストランがある。で、本当にネクタイはいらないんだな?」
男:「ネクタイなんていらない。のどがカラカラで死にそうなんだ」
男は、必死に砂漠を歩き続け、とうとう砂丘の向こうに、高級レストランがあるのを見つけた。
男は最後の力をふり絞り、レストランの入り口にたどり着いて、叫んだ。
「な、中に、入れてくれ。水が飲みたい!」
男の声を聞いて、給仕が入口に現れた。
彼は、息も絶え絶えの男の姿を見ながら、答えた。
「ネクタイをしてない男は入れない」