デビッドは敬けんなクリスチャンだった。
すっかり齢をとった彼は、病気で入院した。
懸命の治療も虚しく、医師はもう救う手立てがないことを家族に伝えた。
神父が病室に呼ばれた。
彼は家族と共にベッドの脇に立ち、
口もきけない状態になったデビッドの横で聖書を読み上げ、祈りをささげた。
すると、ベッドの上の青ざめた表情のデビッドが、
必死に神父に何かを伝えようと手を動かした。
神父は優しく彼にメモと鉛筆を握らせた。
デビッドは、震える手でメモに何かを書き、神父に手渡した。
そして、そのまま突然、息を引き取った。
急いで病室に駆け付けた医師は、デビッドが亡くなったことを確認した。
家族は、一斉に鳴き声をあげた。
神父はその横で再び祈りを捧げた。
そして神父は、デビッドから渡されたメモをそっと開いた。
そこには、乱れた字で、こう書かれていた。
「お、おれの酸素チューブを踏んでるぞ!」